dialog box Vol.3 REPORT(後編) : chefoba「DJとして、自分とちゃんと向き合うことが大事」
dialog box Vol.3 REPORT!!(後編)
こんにちは。
 dialog box、主催&レポート作成担当のspacetimeです。
こちらは、2019/01/16(水)に行われた「ハコで対話するイベント」dialog box Vol.3のレポート(後編)となります。
 先日掲載した前編では、ゲストとしてお迎えしたchefobaさんより、DJとしてのルーツからアニメ・ゲームの話までパーソナルな部分に迫ってお話を伺いました!
 ↓↓↓↓↓
 dialog box Vol.3 REPORT(前編) : chefoba「15歳のときにバイトの初任給でDJ機材を買いました」
後編では、そのキャリアと実力で数々のフロアを盛り上げてきたchefobaさんのDJ面を掘り下げていきます!
  
 

  
Talk Session(後編)
利用機材について
利用機材は?
spacetime
 利用機材についてお伺いしていこうと思うのですが、今回オファーをした際に「利用機材を教えてください」と連絡したところ、「こちらを見てください」ということでdropboxのリンクが送られてきました。
 そこに設置したあったものがこちらになります。

 (chefobaさんに送付頂いたセッティング図)
spacetime
 こちらについて、解説をお願いできますか?
  
 chefoba
 DJをしている方はわかると思うんですが、オファーが来たときに毎回どういう機材のセッティングかを伝えるのってめんどくさいじゃないですか。
 D-YAMAがこういうのを作っていていいなと思ったので、自分でも作ってみました。
  
 機材ですが、MacBookをUSBでミキサー(DJM-900NXSなど)に接続しています。
 また、コントローラーとしてKORG nanoKEY2を接続して操作をしています。
 それだけですね。
 非常にシンプルなセッティングです。
  
 っていうのも、CDJとかはハコによって内容が違って戸惑うことがあったり、ターンテーブルを使う人は「現場にターンテーブルが無いじゃないか!」なんてこともあったり、あんまりそういう事で頭悩ませたくないなと思って。
 DJミキサーにUSBを直接接続できない場合は、オーディオI/Fを利用するというだけです。
 自宅でも箱でもなるべく同じパフォーマンスでできるように、ということで最終的にこういうセッティングになりました。
   
 spacetime
 じゃあ、ご自宅の環境もこういう感じなんですね。
  
 chefoba
 自宅にはミキサーが無いですね。
 なので、PCのイヤホンだけで調整しています。
 Trakrorのショートカットを全部PCにアサインしてあるので、MIDIコンを利用しないでPCだけでやってたりもしますね。
 たまにMIDIコンを繋ぐケーブルを忘れてPCだけでやるときもあるので(笑)
プロフや機材の入ったgoogle driveのリンクを送ってくる方もいる。
出演の多い方は、準備したほうがいろいろスムーズかも。
■KORG nanoKEY2
DTMからDJコントローラーまで、なんでも使えるMIDIコントローラー。
安価なので、何台も買い直している方がいる名機のひとつ。
https://www.korg.com/jp/products/computergear/nanokey2/
機材遍歴
spacetime
 今までいろんな機材を利用してきていたと思うのですが、DJを始めた頃からの機材遍歴などをお聞かせいただけますか?
  
 chefoba
 DJ始めた頃は、さきほど話題に出たようにターンテーブルでした。
 CDJもあまり普及していない頃でしたし、リリースもクラブミュージックはレコードが主流だったので。
  
 あ、その頃使っていたターンテーブルは、ちょうど今来たあの人の家にあります。
 (ここで J.A.G.U.A.R.さん がご来場 )
spacetime
 え、まじすか!
chefoba
 ええ。
 使わなくなったので譲ろうと思って、流れ流れて今はあの人の家に…
spacetime
 なるほど。
 ターンテーブル、流れていくものですよね…
chefoba
 ターンテーブルを使わなくなって、逆にアニソンってレコードは昔のものしか基本的には無いじゃないですか。
 最近は配信もありますが、当時は基本的にCDなのでまずCDJになって。
 そうなると、CDJ使っている方はわかるかと思うんですが、ブラウズがめんどくさいんですね。
 それがやだなって思ってPCになって、MIDIコン使ってるけど重たかったり邪魔になるのが嫌だなというところで、最終的にどこでも同じことができる最低限のものにしようと。
 あとはやっぱり、荷物を軽くしたいっていうのがあって今の形になりました。
  
 spacetime
 遍歴的にはCDJからPCに行って、そこからPCのコントローラーもいろいろ模索してましたよね。
  
 chefoba
 今のになる前は、iPadにTouchOSCというソフトを入れて使っていました。
 無線なんでやっぱりいいなと思って。
 ただ、まあ触った感じは当時別にいいかなと思ってたんですが、マルチタッチができないというのと、手が汗ばんだりすると結構誤動作があって。
 やっぱりちゃんとフィジカルのものじゃないといけないなと思って、nanoKEYになりました。
  
 spacetime
 TouchOSCを使っている人があまりいなかったので詳しくお伺いしたいんですが、あれは手が乾いた状態であればしっかり反応するんですか?
  
 chefoba
 はい、遜色はぜんぜん無いです。
 だいたいみんな押した感覚が無いから使いづらいと言うんですが、それは慣れでカバーできる範囲で。
  
 spacetime
 アサインとか、自分でレイアウトできるんですよね。
  
 chefoba
 そうですね。
 既存のMIDIコンの場合はあるものを自分で合わせて使わなきゃいけないじゃないですか。
 一番の魅力としては、こういう最低限の機能があればいいなっていうのを例えば自分の手の大きさから押しやすい場所にボタンを設置するとか、そういうことができる自由度っていうのがやっぱり魅力で。
 あとはやっぱり無線ですね。
  
 
  
日本語楽曲によるDJの名手。
J-POPとダンスミュージックを衝突させるパーティ「PURE IBIZA」@秋葉原MOGRA(毎月最終火曜19時)を主催。
■流れゆくターンテーブル
筆者のタンテは、当時の練習用レコードと共にBさんの家でバリバリ稼働中。
■TouchOSC
iOS上でMIDIコントローラーを構築できるアプリ。
wifiやbluetoothでPCと接続できる。
https://hexler.net/software/touchosc
nanoKEYのアサインについて
spacetime
 nanoKEYのアサインについて、教えていただけますか。
  
 
 (chefobaさんの利用するKORG nanoKEY2。1~7の数字と-+はシールが貼ってある。)
  
 chefoba
 全然シンプルです。
 下の白鍵の部分(黒いけど)に全部Hot Cueを設定しています。
 8まであるんですが、nanoKEYのオクターブが短いので設定しているのは「1」「2」「3」「7」です。
  
 spacetime
 それが、貼ってある数字なんですね。
  
 chefoba
 Cueには自分ルールを決めてあって、「1」「2」「3」までが普通に使うCueです。
 だいたい「3」が歌始まりで。
 「4」と「7」は、「4」のところまで来たら「7」のところまで飛ばすという使い方をしているので「7」をキーにアサインしています。
 あと、「5」まで来ると曲の1番が終わるよとか、余ったところはループに使ったりとか。
 上の部分(黒鍵)はエフェクトが2種類あるので、左側はエフェクト2種類、右側は再生ボタン、Syncボタン、ループのON/OFFとなっています。
  
 spacetime
 あと、「+」「-」が貼ってありましたよね。
  
 chefoba
 あれはBPMゆるやかに変動させるためのボタンです。
 変化の固定値を決めてあるんですが、これを利用して徐々にBPMを上下させるために利用します。
 パソコンでBPMをちょっと上げたり下げたりというのがめんどくさいので…
   
 spacetime
 これでプレイに必要なものは足りている感じですか?
  
 chefoba
 もっと凝ったことがしたいのであれば足りないんでしょうけど、基本的なプレイについてはこれで足りますね。
  
 spacetime
 最近の現場はだいたいコレで。
  
 chefoba
 はい、忘れたときはがんばってPCだけでやってます(笑)
  
Traktor
spacetime
 ソフトはTraktorを利用していますよね。
 なぜTraktorなんですか?
  
 chefoba
 最初に特にすごい選んだわけではないんですが、なんだっけ。
 もらったのかな。
  
 spacetime
 もらった(笑)
  
 chefoba
 Traktor PROを「いらないからあげるよ」と言われて、とりあえず使い始めたのがきっかけですね。
 で、そのまま使っている感じです。
 一応seratoとかrekordboxも使ってみたんですが、一番性に合ってるのがコレかなってところでここに落ち着いています。
  
 spacetime
 具体的に「ココがいい!」とかそういう部分はありますか?
  
 chefoba
 MIDIアサインの自由度が高いところですね。
 あと、グリッドクオンタイズが一番カチっとしている印象があります。
 曖昧なところでPlayを開始しても、クオンタイズというのを行っているとちゃんとグリッドに合わせてスタートしてくれるんですが、それがすごい重宝してて。
 それから、seratoの人からできないみたいな話を聞いたんですが、sync状態でMixしながらBPMを変えられないとか…
  
 spacetime
 えっ、そうなんですか?
 serato使いの方、会場にいらっしゃいます?
会場
 できます!
  
 chefoba
 あっ、できるらしいですね。(笑)
spacetime
 でもやっぱり、MIDIアサインの自由度っていうのは一番Traktorが高いのかなっていうのがありますね。
chefoba
 前回DJ kaw*kawが言っていたと思うんですが、rekordboxはMIDIアサインの部分が結構しんどいという話を聞きましたね。
  
記載の通り、楽曲のグリッドとBPMをしっかり合わせておけばある程度のタイミングでPlayを開始するだけでビートが合うという機能。
逆に、ものぐさでグリッドをまったく整備していない状態でクオンタイズがONになるとエライ目に合う。
■DJ kaw*kawさん
前回のゲスト。
鬼マッピングの詳細は、前回の記事をチェック!
dialog box Vol.2 REPORT(後編) : DJ kaw*kaw「Traktor最大の魅力は、マッピングを突き詰められるところ」
これからDJを始める方におすすめするなら?
spacetime
 これからDJを始めようという方におすすめする機材はありますか?
  
 chefoba
 DJする上で何に重きを置くかにもよると思いますが、DJをしたことがない人たちがまず想像しうるDJ像にのっとるならCDJですかね。
 PCでのDJで始めたての人だとどうしても動作が小さくまとまりがちになると思うので、無意識で「やってる感」を出るCDJの方がいいのかなと。
 今はもうUSB1本でできちゃうので、始めやすいといえば始めやすいですし
 ただ、初期投資で考えるとやっぱりPCでrekordboxになるのかな。
 コントローラーにソフトが付いてくるものを選んで…みたいなのが一番始めやすいとは思います。
  
 spacetime
 とりあえず何かで始めて、そこから選択していくのがいいですよね。
  
 chefoba
 そうですね、それぞれの特性を見て「自分はもっとこういうことがやりたい」というレベルになったら、その時に考えるのがいいのかなと。
   
楽曲管理について
楽曲管理
spacetime
 楽曲管理について教えてください。
 主にiTunesを利用しているんですよね。
  
 chefoba
 そうですね。
 iTunes、好きです。(笑)
 Windowsの方からすると「なんでだよ!」みたいになるのかもしれないですが…
 まあ嫌なアップデートなどがあったりもするんですが、なんだかんだ言って便利なので。
 環境はMac中心な事もあって使ってますね。
 特に変えようかなと思うことはないです。
  
 spacetime
 楽曲管理をする時、全部iTunes上でコメントにタグを打ってますよね。
  
 chefoba
 そうです。
 偉大なDJのWANさんが「アニソンはタグだ!」という名言を残されていますが、『アニソン』って言葉自体がジャンルではないじゃないですか。
 アニソンっていうものがあっても、その中でジャズとか、ファンクとか、ディスコとか、今日もやらせてもらったんですけれども、そういった情報を書いていってます。
 ジャンルのところに入れればいいんじゃないかというのもあるんですが、アニソン以外のジャンルのDJをする際、アニソンの曲とごっちゃになるのが嫌なのでコメントの部分に記載して管理しています。
  
 spacetime
 前に見せて頂いたことがあるんですが、ジャンルのほかにそのアニメのタイトルとか、年代とか書いてますよね。
  
 chefoba
 あと制作会社とか、原作があったら原作の出版社と雑誌名とか、それ以外は曲の感じですね。
 それから雰囲気とか。
 かなりざっくばらんに書いています。
  
 
 (chefobaさんのTwitterより。iTunesのコメント欄には数々のタグが書き込まれている。また、プログラムを利用したコメント情報の取り込みも。)
  
 spacetime
 じゃあ、DJのときはこれを検索して利用できるようにしているんですね。
  
 chefoba
 検索をするためのアプリを自分で作っています。
 タグをカンマで区切っているんですが、そのコメントの近似値などを見て最も近いものはどれなのかという検索ができるようなものです。
  
 spacetime
 それはiTunesに介入して検索するイメージですか?
  
 chefoba
 ブラウザ上にそのアプリが立ち上がっていて、対象の曲をそこにドラッグ&ドロップすると「これに繋ぐといいですよ」っていうのをサジェストした一覧を表示する、といったものです。
  
 spacetime
 すげえ!
 個人的な興味ですが、そのアプリは何で作ってるんですか?
  
 chefoba
 え、そこ具体的に話しますか(笑)
 そうですね、データ自体を取り込むスクリプトはPythonで書いているんですが、アプリ自体はLaravelとVue.jsで出来てます。
 DBはPostgreSQLですね。
  
 spacetime
 そのあたりを使えば作れるわけですね…
 DJをするためにプログラムを組むっていう。
  
 chefoba
 本業がそっちの方面なので勉強がてらというのと、やっぱり気持ちいいDJをするというのも目標なんですが、一番目指したいのは「次にあの曲をかけたいな」って思ったらなんでも瞬時に出るようにしたいんです。
 あと、人知を超えた選択肢も欲しいっていうのもあって、そのあたりのサジェスチョンをいかに円滑にするかというのを常に念頭においてます。
 次の曲を考える時間をもっともっと短くしたい。
  
 spacetime
 最近rekordboxにも「次はこの曲がいいですよリスト」みたいなのが実装されましたが、それを自力で、もっと自分に最適化して作ってるというイメージですね。
 みなさん、DJをがんばるためにプログラムをがんばりましょう!(笑)
  
 chefoba
 遠回りな気もしますが(笑)
  
 
 (chefobaさん謹製アプリ「SuggesTunes」のスクリーンショット。対象楽曲をドラッグ&ドロップすると、関連度の高い楽曲一覧が表示される。このケースでは、RO-KYU-BU! / SHOOT!をドロップしたところ。すごい。)
  
MacとWindowsのiTunesは、それはもう全然動きが違うらしい。
■WANさん
ダンパの時代よりアニメの曲をかけ続ける、アニソンDJ界の巨匠。
昨年、DJ歴25年を迎えますます活躍中。
■Python
プログラム言語のひとつ。ここ数年ですごく流行ってきている感。
https://www.python.org/
■Laravel
PHPフレームワークのひとつ。
http://laravel.jp/
■Vue.js
オープンソースのJavaScriptフレームワーク。
https://jp.vuejs.org/index.html
■PostgreSQL
オープンソースのオブジェクト関係データベース管理システム。
https://www.postgresql.org/
■rekordboxの「次はこの曲がいいですよリスト」
TRACK SUGGESTION機能やRELATED TRACKS機能のこと。
演奏中の楽曲を元に、音楽面や情報面から相性の良い楽曲のリストを生成してくれる。
DJプレイについて
イベント前にどんな準備をしますか?
spacetime
 ブッキングを頂いてから、当日までにどのような準備をしますか?
  
 chefoba
 これはたぶん『きのこたけのこ戦争』みたいに賛否両論あると思うんですが、私はセットリストを100%組んで行きます。
 それに丸一日か、もっとかな…かけて作って、それを現場でやる感じですね。
 現場でかぶった曲を外したり、気まぐれでちょっと足したり引いたりすることはありますが。
  
 spacetime
 前のDJからどう引っ張るかとか、そういう部分はどうですか?
  
 chefoba
 レギュラーDJだと考えますが、ゲストDJの時はそういう枠で呼ばれているので、あんまり考えないです。
 その辺の楽しみ方もDJの方それぞれあると思うんですよね。
 前の方からいかに受けて、自分のものにして流れに持っていくかみたいな部分も醍醐味だったり実力の見せ所としてあると思うんですが、自分の予期していないところで受けてそこから自分の行きたいところに軌道修正してもっていく時間がすごいもったいないと思っていて、やっぱりその時に自分が一番見せたいテーマが明確にあるのでそれに徹したいっていうことですね。
 なので、ちょっと恥ずかしいんですが最近は前の人から受けて繋ぐっていうことはあんまりやってないですね。
spacetime
 なるほど…
 それで、セットリストを組む時には先程のようなツールなどを利用しながら進めていくんですね。
  
 chefoba
 とはいえ、曲かぶりはしたくないので、その辺は想像力をめっちゃ働かせて、共演するDJの方々の傾向を考えます。
 知っている人であれば「この人はこういう感じで来るだろうな」とか、あと時間帯的に自分の時間のフロアはこういう感じになっているんだろうなとか、そういうところを今までの経験からできるだけ考えて。
 もちろん失敗するときも全然あるんですが、それでもそういう経験が蓄積されて自分の力になるかなと。
  
 spacetime
 すごい考え方としてはわかるというか、とても勇気づけられました(笑)
  
DJ中はどんなことを考えていますか?
spacetime
 いざDJが始まったあとは、どんなことを考えていますか?
 どんなことを気にしていますか、というか。
  
 chefoba
 余裕を見せる、ということですね。
 「俺は全然余裕なんだぜ!」と。
 音を止めちゃったり、めちゃくちゃ滑っていたりしても、全然余裕、予定調和だというところを見せる。
 例えばカウンターのお寿司屋さんとか行ったとして、板前さんが「だ、大丈夫かな…」みたいに震えて包丁持ってたり寿司握ったりしてたらすごい不安じゃないですか。多分次は行かないと思うし。
 やっぱりお客さんが楽しむ余地っていうのはこちら側の余裕から生まれると思うので、なるべく余裕を見せるようにしています。
あとは楽しそうにすることですね。
 実際DJやってると死ぬほど楽しいんですが、自分は機材のセッティング上、動きが少なくなりがちなので意識的にアクションを大きく見せるようにしてます。
 基本Sync機能を使っているから繋ぐための時間を必要としないのでできるだけその分動いたり、お客さんと何かコミュニケーションを取ってレスポンスしたりとか、そういう事を考えています。
  
DJとして大切なこと
spacetime
 今までのお話でも出たと思うんですが、DJとして大切なことって何だと思いますか?
  
 chefoba
 うーん、なんですかね。
 世界観じゃないですかね。
 世界観というか、明確な自分なりのテーマを持っているほうが面白いDJができるんじゃないかって。
 私の主観ですが、そういう人のDJのほうが面白いと思いますね。
 「こういうことがしたいんだぞ」っていうことが見えるほうが。
 なので、意図的にそういうのが見えるように持っていくというのが大切だと思います。
  
 
   
DJとしての目標
spacetime
 今後のDJとしての目標など、ありますか?
  
 chefoba
 もう10年ぐらいアニソンシーンでやらせてもらっているんですが、アニソンクラブイベントだったりアニソンDJの楽しみ方のフォーマットが大分固まってきていると思うんですね。
 なので、もうちょっと自由にやりたいなと。
 なんか、音楽的な側面でもっと色々ギリギリを攻めたい。
 新しい見せ方を探していきたいと思っていますね。
 アニソンDJとしてだけじゃなく、普通のDJとしても。
  
 spacetime
 先日、Xi-liumに出演したときのDJがとても印象的でした。
 前のめりなアニソンだけでなく、ちゃんと波を作って、世界観を作っていたと思ったんですね。
 それがやっぱりそういう、色んなことしようぜっていう流れに繋がっているんでしょうか。
  
私の体はとても正直なので、9月になった途端夏の熱みたいなものが体から完全に抜け落ちて、底抜けに明るい曲とか聴くのもしんどくてどうしても気持ちが上向きにならなかったのでああいう感じになりましたが、良かったとたくさん言ってもらえたので正直ホッとしてます。
ありがとう #xi_lium pic.twitter.com/kRP66hYrhg
— chefoba (@chefoba) 2018年9月10日
  
  
 chefoba
 さきほどの「DJとして大事なこと」にもちょっと繋がるんですが、その当時って自分的にすごい気持ちが落ち込んでて、時期的には9月ぐらいだったんですが、なんか夏が終わるとちょっと落ち込むんですよね。
 肌寒くなってくると、気持ちがちょっと落ち込んできません?
 そんな状態で、明るい曲かけらんないなって。
 それでもなんとかゲストで呼ばれてるからやらなきゃいけないなというので。
  
 DJとして大事なことっていうの話がさっきもありましたが、自分とちゃんと向き合うことっていうのもすごい大事だと思っていて、自分を偽って「本当はこんなことがしたいわけじゃないんだ」ってことをやってると誰も得しないので、一番のお客さんを自分にして自分が納得の行く方法で、かつなんとかお客さんを盛り上げる方向を模索しないといけないなということで、考えたのが先日のXi-liumでしたね。
  
 spacetime
 秋は落ち込む、という話がありましたが、四季によってアッパーな時期と下がる時期があるという感じですか。
  
 chefoba
 なんかこう、病んでるみたいですが(笑)
 ありますよね。
 最高潮のテンションで毎回パーティーに臨み続けるっていうのは難しいと思うので、そうなったときにどうするかっていうのを真剣に考えるってことですね。
 あとやっぱりアニソンと四季はすごい重要で、そのあたりも汲むと良かったりするのかなと。
  
 spacetime
 夏の曲、冬の曲ってすごいパッキリ分かれていて、気温が低い時に聞きたい曲とか暑い時に聞きたい曲とかあって。
 アニソンだともっと明示的に、夏に海で遊んでるアニメと冬に雪で遊んでるアニメとあって、その辺の温度感を大事にするとアニメ見ている人には伝わるし、あと音作りもそういう方向になってますよね。
  
 chefoba
 たぶん人々が季節とか情景に対して受ける印象、その共通項というか、みんなこういう感情を抱くよなっていうのはあって、それを意識して楽曲が作られてるんですよね。
 あえて逆を行くということもあるとは思うんですが。
  
 spacetime
 じゃあ、アニメでDJをするにあたってはそういう部分を大事にしていると。
  
 chefoba
 そうですね、アニソンってすごく情報量が多いので、普通のクラブミュージックだとレーベルだとかジャンルだとかアーティストぐらいしか情報が無いんですが、アニメの場合は作品があって制作会社があって原作があって時期があって年代があってって死ぬほどあるんですね。
 それをどういう風にこう、扱っていくかっていうのがすごいアニソンDJの楽しみ方ってそういうところにあるんじゃないかと。
 その上で、情報を管理するっていうのがいいDJに繋がるんじゃないかなって私は思いますね。
  
お話できるテクニックなどあれば
spacetime
 「何かお話できるテクニックなどあれば」という質問をご用意したんですが、それはやっぱり今の温度感だったりそういう部分を大事にするってことでしょうか。
chefoba
 そうですね。あとはまあ色んな情報くっついてますけど元を正すと音楽なので、曲のジャンルとか、あと音程とかコード進行とか、そういうところももっと意識してMixをしてみるってとこでしょうか。
  
 spacetime
 じゃあ、コード進行をしっかり把握してコードが合う曲を選ぶっていうのもひとつ大事なことであると。
  
 chefoba
 うーん、文字情報と音の情報という2つの”情報”があるので、そのどちらをもってMixするかっていうのは必ず強制することではないですし、それぞれ楽しみ方はあると思いますが、やっぱりDJというものである以上、音の情報っていうのは引き離せないので、そこをもうちょっと大事にしていきたいなと自分のDJでは考えています。
  
質疑応答など
ご来場頂いた方々より、いくつか質問をいただきました!
  
mackeyさんからのご質問
最初にハマった青年誌はなんですか?
chefoba
 最初にハマったのは阿吽ですね!
spacetime
 あー、それがペンギンクラブじゃないところが世代差を感じる(笑)
  
青年向け漫画雑誌。
1996年創刊。
■COMICペンギンクラブ
長い歴史を持つ青年向け漫画雑誌。
こちらは1986年創刊。
プリームさんからのご質問
Mixする時にこだわってる部分などありますか?
  
 chefoba
 繋ぎの時の違和感をなるべく減らすようにすることですかね。
 あと、音が100%と100%で2本同時に走るとうるさいじゃないですか。
 なので、歌が入っている部分や音がぶ厚いところなどは重ねないようにして、なるべく音が薄いところでMixをするとあまりEQを使わなくてすむし省エネかつバランスもいい感じになるかなと思います。
 ソフトとか最近のCDJだと任意の場所にキューでジャンプさせることができるので、必ず毎回ド頭から流して1番が終わるところで繋ぐのではなく、音数の少ない間奏に飛ばしたりとか、かけ始める時も最初からかけるのではなく少し進んだところからスタートするとか、ラスサビに飛ばして繋ぐとか、純粋に1番の部分だけを見るのではなくて、音の構成を楽曲全体から見てMixポイントを考えると、もっと聞きやすいMixになるんじゃないかと。
  
 spacetime
 最後にとてもいい話が聞けましたね。
 阿吽からココに来るとは思いませんでしたが(笑)
  
 
  
 ということで、本日のトークゲストchefobaさんでした。
 ありがとうございました!
  
 chefoba
 ありがとうございました!
  
おわりに
今回も前後編にてお送りしたVol.3レポート、いかがでしたでしょうか。
 楽曲の持つ”情報”を正確かつ効率的に分析し、そこに自身の個性や気持ちをMixしたプレイをフロアに投下するというスタイルにはとても感銘を受けました。
 そして、何よりも音楽とDJが好きだというchefobaさんらしさの詰まったTalk Sessionだったと感じています。
最後にVol.3出演者で記念撮影!
 (今回ようやく気づいて撮り始めました…)
 
  
 出演者のみなさま、ご来場のみなさま、この記事を見ていただいたみなさま、ありがとうございました!
  
今回のBGM
Talk Session BGMのご紹介
-Diverse System-
 fig.5 『FOREVER』
 
   
 http://fig5.diverse.jp/
 ※こちらのCD、会場の方にメチャクチャ好評でした
  
お知らせ
   
 dialog box Vol.4 開催決定!
 気になる日付は2019/03/13(水)。
 次回はちょっと趣向を変えた内容を想定しております。
 ご友人お誘い合わせのうえ、ぜひご来場くださいませ。
  
 

