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ハコで『対話』するweekday event

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REPORT

dialog box Vol.2 REPORT(後編) : DJ kaw*kaw「Traktor最大の魅力は、マッピングを突き詰められるところ」

dialog box Vol.2 REPORT!!(後編)

こんにちは。
dialog box、主催&レポート作成担当のspacetimeです。
  
2018/10/24(水)に開催された「ハコで対話するイベント」dialog boxの第2回。
そちらのTalk Sessionレポート(後編)となります。
今回は、DJ kaw*kawさんに利用機材やそのマッピングを中心にお伺いすることで、よりDJ的な部分へ潜っていきます!!
 
↓↓↓前編記事は、こちらから!!↓↓↓
dialog box Vol.2 REPORT(前編) : DJ kaw*kaw「苺ましまろで好きなのは、mixiコミュニティのメンバー数が一番少ないあの子」
 

 

Talk Session(後編)

 

利用機材について

利用機材は?

spacetime
普段、DJで利用している機材について教えてください。
 
DJ kaw*kaw
自宅ではターンテーブルとTraktor Kontrol Z2が用意してある上で、メイン機材としてDDJ-XP1を利用しています。
現場になると、ターンテーブルではなくてCDJにHID接続をしてプレイしています。
 
spacetime
タンテとCDJって、かなり操作感が違うと思いますがそのあたりは大丈夫なんですか?
 
DJ kaw*kaw
タンテについては、やっぱり未だにDJというものが好きでスクラッチなどの練習をやっています。
ただ、アニソンでプレイするときにはまだ形にできないというか、難しすぎて形になっていないということもあってやらないですね。
なので、アニソンでやるときには実質DDJ-XP1とタンテ(or CDJ)のピッチコントローラーぐらいしか利用しません。
あとはジョグとして少し利用するぐらいです。

■Traktor Kontrol Z2
Traktorでの利用に特化した専用のDJミキサー。
もちろん普通のDJミキサーとしても利用可能。
https://www.native-instruments.com/jp/products/traktor/dj-mixer/traktor-kontrol-z2/
 
■DDJ-XP1
PioneerDJより発売されたrekordbox専用コントローラー。
…ではあるが、普通にMIDIコントローラーなのでマッピングさえ行えば別のソフトでも利用可能。
DJ kaw*kawさんのプレイにおけるキーになるアイテム。
https://www.pioneerdj.com/ja-jp/product/controller/ddj-xp1/black/overview/
 
■HID接続
CDJとPCをUSB接続し、CDJをMIDIコントローラーとして利用する方法のこと。
同時にCDJをオーディオI/Fとして利用することもできるが、DJ交代の時にCDJの操作がロックされて苦労したりするので、オーディオI/Fは別途用意するのがオススメ。
(DJM-900NXSにUSB接続したり、別途オーディオIFを用意したり…)

 

最初に触った機材は?

spacetime
最初に触った機材は、やはりVCI-100とかですか?
 
DJ kaw*kaw
これ、ほんとに最初は趣味で始めたというのもあってVestaxのSPINを利用していました。
ソフトはdjayを利用していて、iOSとかのアプリとかでもあるやつですなんですが、それを家のデスクトップにインストールして触っていました。
 
そこで、先ほど話に出たA-HOL!Cというイベントを始めるぞっていう時に、「これ、やりづれえな」と。
CDJでやるかどうかすごい悩んでたんですけど、CDJ買うのも…みたいな。
コントローラー買っちゃったし。
 
で、いろいろ調べてたらTraktorってやつならSPINでも使えるのでは?
ということに気づいて、購入してマッピングしてみたんですね。
なので、デビューの時から自分でマッピングをしていた…という感じです。
 

■djay
DJ用ソフトウェアのひとつ。
PC用のものも存在するが、スマートフォンやタブレット等でのDJアプリとして有名。
ターンテーブルが2つ映った操作画面を見たことがある方も多いはず。
https://www.algoriddim.com/
 
■SPIN
djay対応のDJ用コントローラー。
縦フェーダーによるGAINやEQが印象的。
https://www.amazon.co.jp/dp/B00317CSNQ/ref=cm_sw_r_cp_api_cHa.BbX5XNHQT
 
■マッピング
今回のキーワードの一つ。
MIDIコントローラーに対し、キーマッピングを行うこと。
通常、そのコントローラーに合ったDJソフトを利用している場合は公式のマッピングが提供されそのまま利用することができるが、別のソフトを利用したり自分好みにカスタマイズしたい場合などは自身の手でマッピング情報を打ち込んでいく必要がある。

 

最初に触る機材って何がいいですか?

spacetime
いま、DJがとても増えていますが、最初に触る機材は何がいいと思いますか?
 
DJ kaw*kaw
やっぱりPioneerさんのコントローラーがいいんじゃないかとは思いますね。
アニソンDJをやるなら。
 
spacetime
DDJ-RBあたりをスタートにいろいろ探っていって…という感じでしょうか。
 
DJ kaw*kaw
そうですね。

■DDJ-RB
PioneerDJ製のMIDIコントローラー。
必要十分なハードウェアの構成にrekordboxDJのライセンスもついて29800円とメチャクチャ安い。
…が、今であれば後継?のDDJ-400が良いかもしれない。
https://www.pioneerdj.com/ja-jp/product/controller/archive/ddj-rb/black/overview/
https://www.pioneerdj.com/ja-jp/product/controller/ddj-400/black/overview/

Traktorについて

Traktorについて教えてください。

spacetime
DJ kaw*kawさんといえばTraktorというイメージがありますので、こちらについてお聞かせください。
最初に使い始めたのはいつからですか、とお聞きしようと思ったんですが、それはさきほどお伺いしたA-HOL!Cでのデビュー時ということですね。

DJ kaw*kaw
そうですね。

spacetime
どうしてTraktorだったんですか?

DJ kaw*kaw
ほんとにもう、マッピングができるというだけですね。
SPINというコントローラーを使えるのが、Traktorしか無かったという。

spacetime
そちらがスタートだとして、現在もTraktorを利用していていらっしゃると思いますが、どんなところが魅力ですか?

DJ kaw*kaw
SYNCとか、グリッドが入っていてそれに合わせるクオンタイズとか、いろんな機能があるんですが、それらが最初はTraktorにしか無かったんです。
Virtual DJなどにもちょっとはあったんですが、やはり機能として成立しているのはTraktorしか無かったと。
なので、当時SYNCを使うのはダサいみたいな風潮がありましたけど、僕はそういうこだわりが一切無くて本当にお客さんの期間が結構長かったというのがあるんで、別にDJが何してようと、気持ちよく聞かせてくれればそれでいいという発想だったんです。
もうSYNC使えるならガンガン使っていこうよ、みたいな感じです。
で、そのSYNCの機能が強かったのがTraktorなんですが…
いまseratoもrekordboxも追い越せ追い越せでTraktorの魅力は無いです!

spacetime
えー!!

DJ kaw*kaw
Traktorの魅力はまあ、マッピングですね。

spacetime
移行しない理由も、マッピングですか?

DJ kaw*kaw
はい、マッピングだけです!

spacetime
たとえば、rekordboxに移行しようとしたとしたら同じマッピングは再現できるんですか?

DJ kaw*kaw
これは、できないですね。
rekordboxだと僕のやっているやり方は結構できないです。
DDJ-XP1を購入した際にrekordboxのライセンスも一緒についてきたんですが、やっぱりちょっと色々操作感が異なるというか手癖的な部分もあって、そこを変えるほどの価値が自分にとってあるのかと考えると、現状別に無いなと。
たぶんPioneerさんのほうでTraktorと同様に色々なマッピングができるようになったら、rekordboxに乗り換えるかもしれません。
なので、別にこだわりというわけではないです。
やりたいことができれば、seratoでも良いと思ってます。

spacetime
seratoでもやっぱり…?

DJ kaw*kaw
同じマッピングは、できないですね。


DJ kaw*kawさんのブースセッティング写真。

■Virtual DJ
DJソフトウェアの一つ。
早期よりVideo再生機能が充実しており、DJプレイ同様にピッチベンドやピッチコントロールも可能であったため、DJソフトとしてよりはアニソンVJの間でのスタンダードとなっていた。
(最近はrekordboxなど他のソフトも対応しはじめています)
https://www.virtualdj.com/
ご質問②「Traktorのマッピングを教えてください」

ここで、東京都にお住まいのヒコクさんからのご質問。

spacetime
と、いうわけでDDJ-XP1に対して実際にどんなマッピングをしているのか、見せて頂こうと思います!
  
DJ kaw*kaw
Traktorは、接続している機材に対して自由にマッピングを行うことができます。
これが最大の魅力です。
どんな機材でも、MIDIコンであれば自分のやりたい操作を割り当てられる。
例えば、絶対やらないけどCDJのジョグを実際に回した方向と逆回転にさせたりとか、そういう事もできます。
これさえできれば、どんな操作でもできちゃう。
という感じです。
DDJ-XP1は実際rekordbox用の機材なんですが、こちらをTraktorで利用できるように1個1個、全部手打ちでマッピングしています。
 

DJ kaw*kawさんのTraktorマッピング画面。スクロールバーの小ささがその数を物語る。(赤丸部分)
 

マッピングの概要

※公式サイトにあるDDJ-XP1の画像とあわせてご覧ください
https://www.pioneerdj.com/ja-jp/product/controller/ddj-xp1/black/overview/
 
DDJ-XP1の左右16個のパッド(ボタン)をメインに説明。
それらのボタンを上部の「HOT CUE」「PAD FX1」「BEAT JUMP」「SAMPLER」ボタンで切り替え、片側64個アサインできるようにしている。
また、Traktorはそれぞれのキーの光り方(初期状態から押したときの色まで)も設定できるため、そちらも全てマッピングしているとのこと。
その数、実に1200個以上!!

アサイン1


パッド上段にQueポイント(複数)、中段にループ、下段にPlayやQue、Que Playなど。

DJ kaw*kaw
これはTraktorの特徴なんですが、Que Playというものがあります。
これ、全然語られないんですが超便利QueとPlayが同時にできるんです。
さらに、途中でQueをリアルタイムに付けることもできるので、走らせながらQueを打つ、そのQueから再生する、などを行うことができます。
他のソフトは、おそらくできないんじゃないかと。
 
 

アサイン2


エフェクト。
パッド上段でエフェクトの種類。
エフェクトのかけ具合はパッド下段にアサイン。
かけ具合については、エフェクトをかけるノブの位置をボタンごとにマッピングして決めている。
さらにSHIFTボタンを押下しながら操作することで全体のエフェクトの種類やかけ具合を調整。


当日は、Traktorの画面とDDJ-XP1を並べて解説いただきました。
 
 

アサイン3、4


キーボードモード。
ボタンごとにTraktorのキー音操作ノブの位置を記憶しておき、ある音に対して音階を付けて演奏できるようにしている。
アサイン3はキーが上がるもの、アサイン4はキーが下がるもの。
 
キーボードモードでは、ピアノの鍵盤と同じ色になるようにマッピング。
別途操作を行うことでボタンの「ド」の色が光る位置が変わるようにしてあり、操作を行いたい音の音階に合わせて「ド」の位置を選べるようにしてある。
→そのボタンを「ド」としてトーンプレイができる
 


トーンプレイを生み出す「キーボードモード」
ある曲の1音を切り取り、キー調整を行って音階を付けることで演奏できるようにしている。

 
spacetime
ピアノめっちゃ生きてるじゃん!!

DJ kaw*kaw
いやあ、生きてましたね。

spacetime
これ、現場でパッと出てくるんですか。

DJ kaw*kaw
そうですね、自分でマッピングしてるんで大丈夫です。
こういうのが、rekordboxだと難しいんですよね。
一応、去年ぐらいからできるようになったみたいなんですがまだちょっと…
という感じなので、Traktorを利用しています。
 

 

■トーンプレイ
楽曲の音を使って別のメロディを作ること。
詳細は、下記2件の記事が詳しい。
https://disc-j.net/dj-column/dj-tec/1258/
http://dg.ishibashi.co.jp/?p=28818
Traktor PRO 3について

spacetime
Traktorのメジャーアップデートが行われて、Ver.3が出ましたね。
いかがでしたか!?

DJ kaw*kaw
あのー…
なんも変わってねえな、と(笑)
音が良くなったぐらいかな。
あと、インターフェースが変わったので見やすくはなったと思います。
ただ、基本的なところはあまり変わっていないなという印象で、悪いところもそのまま残ってたりするんで、ほんとにちょっと…今後に期待という感じですね。

spacetime
メジャーアップデートしたけど、そんなに変わってないという感じなんですね。

DJ kaw*kaw
そうですね。
老害っぽいことを言うと、昔Traktorってシーンの最新だったのに完全に今は遅れをとっていて、その遅れを取り戻してほしいなという気持ちでいっぱいです…
でも全然いいソフトですよ。
 
僕みたいに病的にマッピングをしない限りはTraktorであろうと、rekordboxであろうと、seratoであろうと、使いやすいものを使ったほうがいいです!


Traktor PRO3のメイン画面(DJ kaw*kawさんご提供)
 

DJにおけるマインド的な部分について

イベント準備について

spacetime
ここからはDJにおけるメンタルというか、マインド的な部分を聞いていきたいと思います。
例えば、あるイベントからオファーがあってOKしました!
それから当日までは、どんな準備をしますか?
 
DJ kaw*kaw
準備はイベントによりけりで、全く準備しないイベントもあれば、今日みたいにコンセプトがしっかりしているイベントではやることがだいたい決まってくるので予め準備をしたり、という感じです。
基本的に、イベントによって全然異なるということですね。
 
例えば遠征など、空気がわからないはじめての場所でやる場合は正直、何も準備できないんですね。
もう、自信のある繋ぎを練習するぐらいしか、みたいな。
 
spacetime
わかるイベントは予め準備をしていくし、わからないイベントはできることをやっておく、という感じですね。
 
DJ kaw*kaw
そうですね。
 

イベント当日について

spacetime
当日になって、プレイ直前とかプレイしてる最中とか、どんなことを考えていますか?
 
DJ kaw*kaw
これは賛否両論あるかもしれませんが、僕はプレイ前にセットリストを完全に組む派なんです。
完全とは言えないけど、8割~9割かな…
だいたい出番の1時間前から30分前ぐらいに、その時に使う曲をプレイリストにバーっと入れていくっていう作業をします。
 
spacetime
それ、1時間前なんですね。
 
DJ kaw*kaw
そうですね、だいたい1時間前か30分前か。
そんなに長い時間をかけるわけではなくて。
それは、結構自分の中で決めていることで、何故かというとイベントの空気を見て、その場その場で空気ってコロコロ変わるので、「この曲かかってない」とか、「かけたかった曲がかかっちゃった」とか、そういうのもたくさんあるので、だいたい1時間前なんですね。
 
spacetime
1時間前から始めて決められるのはすごいですね。
迷ったりしませんか?
 
DJ kaw*kaw
これはさっきの話と繋がっていて、イベント前にある程度空気がわかっていたら、ある程度もう決めてはあるんですね。
40分だとするとだいたい26曲ぐらいで、そのうち10曲ぐらいはある程度決めてある。
その決めてあるものがイケそうだったり、かかってなかったりしたらもうすぐに終わります。5分とか。
 
spacetime
すごい…
 
DJ kaw*kaw
ただ、そうじゃない時とかは引きこもったりしますね。
ほんとに「先が見えねえ」みたいなときは、何個もセットを準備するんですが…
 
spacetime
プレイ中はいかがですか?
 
DJ kaw*kaw
プレイが始まったら、それがフロアにハマっているかどうかを考えていますね。
自分がリストアップしたものをやるんですが、実際現場でやってみて「やべえ、これ違え!」みたいな。
違う空気だったり、なんかアゲ過ぎちゃったりとかっていうときは、もう作ったやつを崩して空気を変えるみたいなことをその場その場でやっています。
 
spacetime
ある程度は固めて臨みつつ、プレイ中は空気に合わせてという感じですね。
 
DJ kaw*kaw
はい、そうです。

■セットリスト
当日にプレイする(した)楽曲一覧のこと。
今まで周囲のDJに聞いている感じでは、イベント前から組んでしまう人、イベント中に組む人、プレイ中にリアルタイムに選曲するため組まない人など様々。

 

DJにとって大事なことは何だと思いますか?

spacetime
これ、前回のゲストもすごい困られていた質問なんですが、DJにとって大事なことって何だと思いますか?
 
DJ kaw*kaw
DJに大切なこと…なんだろうなあ。
DJって場所場所によって全然変わるものだと思っていて、例えば100人入るフロアに5人くらいしかいないフロアと、何千人もいるでかい現場でやるDJって同じDJでも全く別ものだと思っています。
自分はだいたい100人から200人ぐらいの規模が多いのでそこのDJに向けてしか話せないのですが、その範囲で大事なことはフロアをコントロールすることだと思います。
自分が盛り上げる、落ち着かせる、どこにピークをもっていくなどを設定することが一番大切かなと。
他の人にそういうところが大切、というわけではなくて自分自身のDJとしてそこを大切にしています。
 
spacetime
前回のゲストも同様のことをおっしゃっていましたが、目の前のお客さんに対してどういう空気を提供するかというのが大切ということですね。
 
DJ kaw*kaw
はい、そういう感じですね。
 

なにかお伝えできるテクニックなど

spacetime
フロアをコントロールするために、できるテクニックなどありましたら教えてください。
 
DJ kaw*kaw
わかんないですけど、やっぱり経験ですよね。
いろんな現場を見て、この空気ってこういう感じだなというのを感じ取れるようになるというか。
DJが始まる前に、フロアをよく見てお客さんの状態を見るというのがひとつテクニックといえばテクニックですね。
 
spacetime
ライブTシャツとか、コスプレとか。
 
DJ kaw*kaw
そうですね、あとはかかっている曲の傾向とかもそうですね。
お客さんがどのタイミングで盛り上がってるかとかっていうのをちゃんと見ておくっていうのが大切かな。
 

思い出に残っているイベント

印象に残っているイベントなど

spacetime
いままで数々のイベントに出演されていると思いますが、特に印象に残っているイベントがあれば教えてください。
 
DJ kaw*kaw
これはもう、A-HOL!Cですね。
DJをちゃんとやっていない頃から始めて、1周年で300人以上入ったんです。
 
spacetime
すごいですね。
それって、集客のコツというかキモというか、そういうのは何だったんでしょうか。
 
DJ kaw*kaw
これはもう、DJ各々ががんばったとしか言いようがないですね。
オフ会発祥の友達同士で90人ぐらい集まったイベントだったんですが、そこからDJ各自が「いろんなイベントに出てお客さん連れてこようぜ」と。
1年間に4回ぐらいしかやってないんですが、その間に他のイベントにレギュラーDJがたくさん出て連れてきた、みたいな感じです。
名前もそれで広まるし、名前が広まれば「ここのDJだ」という感じに呼んでもらえるし、みたいなところがあったので1年間でDJをやってない人たちががんばって、こんなことができるんだと。
中身は喧嘩も全然しましたし、よく熱い話もしましたし、でも全然みんな嫌いじゃないっていうか、みんなお互い尊敬してるから、そういう友達と全くゼロから始めて300人集められるというのは感動しましたね。

spacetime
やはり、足でいろんなイベントに遊びに行って、ということですね。
もちろんオンラインの告知もあるとは思うんですが、それはどうしても限界があるし。
みんなの頑張りが一番大事、と。
 
DJ kaw*kaw
そうですね。
 

遠征の思い出

spacetime
この1年で、遠征どれぐらい行きました?
 
DJ kaw*kaw
今年は1ヶ月に1回ペースぐらいですね。
去年は2ヶ月に1回ぐらいかな。
 
spacetime
東京というか、関東圏以外でDJするときってどんな心構え、どんな気持ちで行ってますか。
 
DJ kaw*kaw
これは、共通して言えることがあって、大阪以外のところはまだそんなにイベントが乱立していないんですね。
で、どんな状況かというと1ヶ月に1回の楽しみをそこにおいてる人っていうのがいっぱいいるんですよ。
そこの爆発力みたいなものがあります。
その爆発力を生む楽曲だったりプレイ内容っていうのはイベントごとに絶対違うので、地方に行った時に一番気をつけることはとにかくフロアを見るということですね。
最初、ぜったいにどんな空気かとか、どれぐらいのお客さん、どれぐらいの年齢層がいるかとか、それを重視してます。
 

遠征グルメ

spacetime
これ、どうしても聞きたかったのですが、遠征先で食べたもので一番美味しかったものはなんですか?
イベントに行くと、だいたい翌日とかに現地の方が美味しいものを食べさせてくれたりするじゃないですか。
これ、すっごいありがたいですよね。
 
DJ kaw*kaw
僕、遠征に呼んでもらえるようになって最初の頃って結構詰め込んでいてDJだけして帰ることがよくあったんですが、今は呼んでもらったら絶対にその地域を楽しむことにしています。
絶対に観光する。
その中で衝撃を受けたのは、やっぱり高知のカツオかもしれないですね。
あれはもう、知ってるものと違ったというか。
 
spacetime
これ、カツオじゃなくない!?
みたいな。
 
DJ kaw*kaw
いや、カツオですよ!
藁焼きとかは独特な藁のにおいまで含めて全然違ったし、水揚げされた魚を市場でそのまま食べたんですが、ちょっとこれは凄かったです。
 
spacetime
うわー、それは美味しそうだ…
じゃあみんな、高知のイベント目指してがんばりましょう!!!
 

■高知のカツオ
これ、本当に美味しいらしい。
高知に行ったDJさんはみんなカツオの話をしている気がする。

 

オーガナイズしているイベント

Xi-liumについて

 
「Xi-lium」は秋葉原MOGRAにて毎回第二日曜に開催しているアニメソング中心のクラブイベントです。
都内でも有数の凄腕DJがアニメソングを次々と繋げていき、VJがそれに合わせた映像を会場に映し出します。
誰もが知っている名曲、最新アニメの楽曲、マニアックなレア音源など新旧アニソンが縦横無尽にかかります。
そしてXi-lium最大の特徴は「サイリウム(=ケミカルライト)」の無料配布。
毎回約400本を無料配布することでサイリウムの光が会場を彩り、クラブでありながらライブでもあるような独自の空間を演出しています。
アニメカルチャーの聖地秋葉原という立地に加え、開催時間は日曜日のデイタイム。
クラブカルチャーに馴染みのない方でも気軽に参加して頂けるクラブイベントです。

spacetime
オーガナイズされているXi-liumについてお聞かせください。
 
DJ kaw*kaw
アニソンの原曲イベントという部類に入るイベントで、今ちょっと形が変わってるんですが、元々 仁太 っていう人がオーガナイズをやっていて、開始した当初はライブがあったんですね。
 
spacetime
あー、確かにありましたね。
 
DJ kaw*kaw
立ち上げ当時はアニソンインデックスがすごい人気があって、またヲタリズムがあって…というところで、ちょっと違う切り口でということで「ライブも楽しめるイベント」ということで立ち上がったイベントなんです。
で、ライブがあるから「Xi-lium(サイリウム)」。
 
spacetime
最初はそこからスタートだったと。
 
DJ kaw*kaw
それでサイリウムを毎月400本以上、無料で配布しています。
 
spacetime
入り口で渡される1本のほかに、フロアにいても配られたりしてますよね。
 
DJ kaw*kaw
そういう所が普通のイベントとちょっと違ったんですが、そこからどんどん発展していって、2~3年ぐらいで自分のほうにオーガナイズが回ってきました。
そこからは結構いろんなイベントがある中で、僕らは「初めて来る人」というのを絶対に見ていきたいなというのがあって、どうしてもイベントが増えていくとどんどんコアな方向に走ったり、それはそれですごい楽しいんですが、初めてのクラブで、クラブがどんな場所かもわからないという人が来た時に楽しめるイベントというのを1番に置いていますね。
 
spacetime
では、いま目指しているところとしては「初めて来た人が楽しめるイベント」ということなんですね。
 
DJ kaw*kaw
そうですね。
そこを重要視しているのと、あとはフラっと来れるというところですね。
「あ、今日第2日曜日だ。秋葉原でXi-liumやってるじゃん」みたいな感じで来てもらえるようなイベントにしたいなと。
あんまり気負って来るよりかは、どちらかというとフラっと来る。
慣れた人たちはフラっと来れて、初めて来る人は「どんなイベントだろう」って行ってみれるようなイベントにしたいです。
 
spacetime
確かに、僕自信も1番行きやすいイベントになってますね。
これって本当にありがたいです。

■仁太さん
Xi-lium初代オーガナイザー。
現在、DJは引退して運営サポートとしてイベントを支えているとのこと。
https://twitter.com/jinta_kichigai
 
■サイリウム
ここで無料配布されているのは、オレンジ色のペンライト。
とらドラ!の「オレンジ」がかかるとフロア一面がオレンジになるのがXi-lium名物のひとつ。
ゲストをブッキングするときに考えていること

spacetime
ゲストの方は、どんな基準で検討していますか?
 
DJ kaw*kaw
これは回によって違っていて、その時のテーマによってテーマに沿った3人を呼ぶとかっていうのもあります。
あと、Xi-liumは最近オヤジギャグが流行っていまして。
 
spacetime
オヤジギャグ(笑)
 
DJ kaw*kaw
日付と語呂がいい人とか(笑)
 
spacetime
そんなノリなの!?
 
DJ kaw*kaw
そんなノリもありますね、あくまで一例ですが。
そうやってどんどん候補を出して行くんですよ。
で、その候補からこの人を軸にしてこういう風にしようか、みたいな。
結構、毎回違いますね。
 
spacetime
では、イベントそのものの方針というよりはその時その時でテーマを決めて、そのテーマに沿ったDJさんを探してくるという感じなんですね。
 
DJ kaw*kaw
ただ1個だけ気にしていることがあって、新しい人をどんどん呼びたいなと。
3人のゲスト枠を用意しているのも、そういう理由があります。
3人のうち1人は最近DJを始めたとか、そういう新しい顔をどんどん入れて行きたいなと。
それは純粋に、新しいお客さんが来るという事にも繋がりますし。
 
spacetime
ちゃんと若い人を入れていくのって、大事ですよね。
 
DJ kaw*kaw
ずっと凝り固まらないで、新しい人はどんどん入れていきたいなと思っています。
 

公募について

spacetime
Xi-liumといえば、名物のひとつにもなっている公募!
いつも印象的な企画・制作をされていますが、これはどこから生まれてくるんですか?
 
DJ kaw*kaw
Xi-liumはいつも終わった後の週に毎月Skypeで会議をやってるんです。
その会議の半分ぐらいが初代オーガナイザー仁太の無駄な雑談なんですが、その話を聞きながらできていくっていう。
「そういえばさあ」って宇宙の話とかになったら、「スペースDJおもしろくね?」みたいな。
極論、そういうノリですね。
ほんと雑談ベースでどんどん組み上がっていくっていう。
 
spacetime
Xi-liumのチャンピオンになると、漏れなくフリー素材になるっていうのがあると思うんですが(笑)
これ企画ができるたびに毎回「こういう企画なんで写真撮ってもらえますか」ってお願いしてるんですか?
 
DJ kaw*kaw
3年前の格闘技のやつぐらいからちょっと狂いはじめて、そこから撮影とかするようになりましたね。
 
spacetime
あ、結構本気撮影をしてるんですか。
 
DJ kaw*kaw
はい、カメラマンさんとか呼んで写真撮ってもらって、あとはノリで作って…みたいな。
 
spacetime
この公募、毎回130人ぐらい応募してくるんですよね。
そのチャンピオンというのは、どういう基準で選んでいますか?
 
DJ kaw*kaw
これは、いろいろ聞いた上で最終的に印象に残った人としか言いようが無いですね。
 
spacetime
じゃあ、130人の中で一番インパクトがあった人というところでしょうか。
もちろん基礎的なものは前提として。
 
DJ kaw*kaw
選考についてなんですが、さすがに全員が100人以上のMixを聞くとノイローゼになっちゃうんですよ。
もうレギュラーDJがキレ始めて。
「こんな聞けねーよ!」みたいな。
 
なので、いまは公募があったら必ずレギュラーDJが3人聞くというシステムにしています。
自分は全部聞いているので、あと2人ですね。
その3人で、次の選考に残すかどうかを決める。
 
その次の選考からは、VJもスタッフも含めた全員で聞く。
そこで上位5名ぐらいに絞ります。
最後はその5人から最も印象に残った人をチャンピオンに…という感じですね。
 
spacetime
歴代チャンピオンの簡単な感想など、お聞かせ頂けますか。
 
DJ kaw*kaw
簡単な感想は…難しいですね…
 
spacetime
じゃあ、最新の公募でいきましょう。
ライノホーン川井さん。
 
DJ kaw*kaw
ライノホーン川井さんは…そうですね、「やべえやつ選んじゃったな」って。(笑)
 
spacetime
僕もDJブースでマンガを朗読してる人っていうイメージが強いですね。(笑)
 
DJ kaw*kaw
彼、すごい面白いのが、性格がほんとぶっ飛んでるんですよ。
ただDJに対してはすっごい真面目で。
真面目に流れを考えたりとか、どこでふざけたりするとか、どこでちゃんとやるとか、みたいなのをちゃんと考えてるんですよ。
そういうのがMixから読み取れたというのがあって。
ただ、お酒入るとマジめんどくさい。(笑)
 
spacetime
あー、それはMixからは読めないですからねー(笑)
 
DJ kaw*kaw
そういうのも含めて、クラブっぽくて面白いなって。
僕、そういうの大好きなんで…
 

■Xi-lium公募
とにかく毎年、サイトの気合の入り方がすごい。
(あと歴代優勝者のフォトジェニックぶりもすごい)
http://xi-lium.com/koubo2016/
http://xi-lium.com/koubo2017/
http://xi-lium.com/koubo2018/
 
■ライノホーン川井さん
2018年のXi-lium公募優勝者。
岡山県のアニソン/音ゲーDJ。
全国各地の公募優勝経験も多数あり。
必殺技はDJ中のコミック朗読(頭文字Dとか)など。
https://twitter.com/rhinohorn_kawai
今後の展望について

spacetime
Xi-liumの今後の展望について教えてください。
 
DJ kaw*kaw
なんも考えてないっすね(笑)
ただやっぱり、今の空気というか、結構フラっと遊びに来てくれる人もいますし、初めて来てくれる方もいますし、Xi-liumきっかけでDJ始めましたって人も結構いるんですよ。
そういう人たちを、たどえばDJ始めましたって人だったら、DJのブースという舞台に立ってもらったりとか。
新しい人達が常連になってくれて、また新しい人を連れてきてくれたりとか、そういう今まで積み重ねてきたものをどんどん続けていきたいなと。
なんかでっかい野望とか、そういうのは無いです。

spacetime
今のいいサイクルを続けていきたい、ということですね。
 

注目しているDJについて

69beats

spacetime
注目しているDJさんなどいれば、教えてください。
 
DJ kaw*kaw
これ難しいんですが、僕はアニソンのDJというものにあまりこだわっていなくて、youtubeで色々なジャンルのDJの動画をずっと見ているんです。
なので、そういうDJさんになってしまうんですよね。
 
spacetime
全然、大丈夫ですよ!
 
DJ kaw*kaw
69beatsさんっていう海外のDJさんなんですが、その人がメチャクチャすごいプレイをする人で。
Red Bull Music 3Styleという、15分で3つ以上のジャンルをプレイする形式の大会があるんですが、そこで最近トーンプレイなどが流行っていて、自分が始めたのも実はそこがきっかけだったりします。
そのポーランド大会の優勝者の方なんですが、メチャクチャ面白いんですよ。
リズム系のパッドを叩くネタだったりとか、トーンプレイもとんでもないピアノみたいなプレイをしたりとか、その中にジャグリングもあったり、というトータルで見てすごい面白いプレイをする人なんですね。
そういうのを見て、自分も新しいことやりたいなって。
おそらく、一番影響を受けている人だと思います。
 


 
spacetime
Youtubeって、ジャンル問わなければ本当にいろんなDJのプレイを見ることができますよね。
BOILER ROOMとか。
あと、abemaTVでHip Hopの配信をやってたりするのもよく見ているんですが、やっぱり何か発見がありますよね。
自分のジャンルと違っても、「うまい!」ってDJを聞くとすごい刺激になったりとか。
そういうのって大事ですよね。
 
DJ kaw*kaw
そもそもアニソンDJっていう単語自体が自分の中でしっくり来ていなくて、自分はDJやってる中でたまたまアニソンを流している感じなので、そこに変な敷居は置いていないというか。
フラットにDJをやっていきたい、という感じで見ていますね。
トーンプレイやジャグリングをやらないプレイとか、CDJでどんな面白いことができるのかとか、そういうのも見ます。

■BOILER ROOM
世界中のアーティストによるDJやLIVEなどをYoutubeにて配信しているチャンネル。
配信前提なのでカメラの真正面にDJブースが設置され、フロアのオーディエンスはその後ろで踊るという独特なレイアウトも有名。
https://boilerroom.tv/
https://www.youtube.com/channel/UCGBpxWJr9FNOcFYA5GkKrMg
 
■abemaTVのHIP HOP配信
月~土、原宿の公開スタジオから配信されている「AbemaMix」のこと。
https://abema.tv/now-on-air/hiphop

 

今後の活動について

spacetime
今後の告知などありましたら。

DJ kaw*kaw
いやもう、Xi-lium来てくださいとしか(笑)

spacetime
毎月第2日曜日、こちらMOGRAで開催しているXi-liumですね!

DJ kaw*kaw
はい、よろしくお願いします!

spacetime
そんなわけで、本日のゲストDJ kaw*kawさんでした!
ありがとうございました!

DJ kaw*kaw
ありがとうございました!
 

Support DJからのコメント

トーク終了後、DJ kaw*kawさんのプレイ準備が整うまでSupport DJのasanoappyさん、TAICHIROさんに話を聞いてみました。
 

asanoappy

spacetime
今日のイベント、いかがでしたか。

asanoappy
いやー…、いい感じですね。
 
spacetime
便利な言葉だなー(笑)
Traktorは使ってないと思いますが、なにか参考になったりしましたか。
 
asanoappy
いや、僕は最初にVirtual DJを使っていたので懐かしいなって思いましたね。
 
spacetime
あ、そうなんだ!
今日も花澤香菜さんをふんだんに混ぜ込んだ、個性あるプレイを聞かせて頂きました。
ありがとうございました!
 

TAICHIRO

spacetime
彼は、すごい僕がコミュ障な中「ズッ友」でいてくれるということで今日お願いすることにしました。
今日のイベント、いかがですか。
 
TAICHIRO
いやー…、いい感じですね。
 
spacetime
同じかよ!!(笑)
なんかこう、無いの!!
 
TAICHIRO
私も美味しいお酒とご飯を食べてゆっくり話すイベントをやっているんですが、こうやって一人の方にじっくりお話を聞くというのもすごくいいですよね。
 
spacetime
模範解答ありがとうございます!
DJソフトはseratoを使っているかと思いますが、Traktor使いの方の話を聞いていていかがでしたか。
 
TAICHIRO
実は私も一番最初に触ったのがVirtual DJで。
 
spacetime
Virtual DJ人気だなあ。(笑)
どうしてVirtual DJに?
 
TAICHIRO
ざっくりいうと、就活のためにDJを始めたんですが…

spacetime
え、就活!?

TAICHIRO
はい。
それで、機材も何も無いけど1週間後に本番で【DJ なにする】で検索して出てきたのがVirtual DJのフリー版だったんです。
でもほかの機材も無かったので、マウスで横フェーダーでMIXしたりしてて。
それで今もDJでは横フェーダーしか使っていないんですよね。

spacetime
そういうのを聞くと、敷居が低いところから入るって大事なんですね…
今日はありがとうございました!

今回のBGM

Talk Session BGMのご紹介

-Diverse System-
works.2
http://diverse.jp/dvsp-0071/
https://diverse.direct/diverse-system/ad2011/
 

さいごに

DJ kaw*kawさんとのTalk Session、いかがでしたでしょうか。
現場での素晴らしいDJの裏側には、影で壮絶とも言えるマッピングを行い、日々DJというものに対して熱心に向かい合っている姿を垣間見ることができました。
貴重なお話、ありがとうございました!

さて、前編でもお知らせをしましたが、dialog box Vol.3も開催が決定しております。
少し先にはなりますが、日程は
 
2019/01/16(水)
 
を予定しております!
次回も良いDJに素敵なトークを交えてお送りいたしますので、是非とも遊びにきてくださいませ。
詳細は12月中に発表いたします!!
 

 
それでは、また次のSessionで。